千曲万来余話その666「ストラヴィンスキー詩編交響曲、ベルリン・フィルで・・・ 」
レコード芸術誌休刊という情報を受け止めた。クラシック音楽メディアの衝撃、きわめて深刻な事態が進んでいた。いずれにしろ愛好家たちには、再起への取り組みが必要なのだろう。盤友人としても何らかの支援をしたいものである。
イーゴリ・ストラヴィンスキー1882.6/18~1971.4/6寂は5曲、1番交響曲変ホ長調作品1、管楽器のための交響曲、ハ調の交響曲、3楽章の交響曲、そして詩編交響曲1930を残している。1910.6彼はパリ楽壇に登場、1913年には春の祭典でピーク、その後、表現主義的傾向へと向かう。詩編交響曲は1930年新古典主義ともいえる作曲に取り組んだ。合唱四部とフルート、ピッコロ、アルトフルート、オーボエ、ファゴット、金管楽器群、ピアノ、打楽器。つまりクラリネットやヴァイオリン群を欠いているヴィオラ、チェロ、コントラバス弦楽3部。
カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニーは1975.2録音1948年改訂版による。「主よ、あなたの憤りをもって私をせめず、激しい怒りをもって私を懲らすことをしないでください。」もしかすると第一次世界大戦、第二次大戦という体験をもとに作曲者は、主を褒め称え、賛美しているのかもしれない。詩編38、39番、管弦楽にコーラスという形態はカンタータ交声曲、バッハの作品に基ずく。楽器編成は大きく異なるものだが、第2楽章のオーボエ、フルート、アルトフルート、ピッコロと旋律が多声部の絡みに展開するのは、フーガの技法の音楽を思い出させる。この時期のベルリン・フィルのフルート首席奏者は、ジェームズ・ゴールウエイというビッグネイム。彼は1969年9月から登場、その直前までロンドン交響楽団首席奏者だった。1973年10/27渋谷NHKホールでドボルジャーク8番交響曲は演奏姿が映像に残っている。1975年5月にはカラヤンの慰留にもかかわらず独奏者としての活動にスイッチ路線変更している。
Jゴールウエイと2重奏しているオーボエ奏者は、若々しい音色、ハンスイエルク・シェレンベルガーかもしれない。当時彼はケルン放送交響楽団の首席に就任、ベルリンには1977年からという記録であるのだが、もしかすると、この録音に参加している可能性はないのだろうか? オクターブ跳躍進行する演奏を易々とものにする力量は、カラヤン先生が抜擢する最高の人材である。
この詩編交響曲でコーラス・マスターは、ワルター・ハーゲン-グロル、ベルリン・ドイツオペラ合唱団、前列に女声、右スピーカーからアルト、バス、左スピーカーにソプラノ、テノールという配置である。なぜそのようになるかというと、コントラバスが上手配置にあることによる。第2楽章後半には、ヴィオラが左スピーカーに聴こえる。3月23木曜日、パワーアンプをモノラル仕様、3極出力管AD1を採用することにより、システムグレードアップはかなり高品位の世界に到達。それは、ステレオ録音の場合、定位ローカリゼイションの向上を実現している。極めてデリケイトに再生する。すなわち、実際の演奏という生の音楽と対比する存在のレコードではなくて、記録再生の向こうに演奏する音楽があるという直線上の関係である。どういうことかというと、音楽が生演奏対記録物という関係性ではなくて、レコード再生により音楽体験するというレコード芸術である。
盤友人は、昭和54年から40万円でシステムを組みスピーカーを再生する音楽を追求するのが人生であった。44年の時間を経過してLPレコード再生する悦びを実現するに至っている。なぜコンパクトディスクではないのかというと、音楽情報自体を記録再生する時、アナログの世界こそ味わう音楽の醍醐味自体なのであり、CDでは味わえない世界なのである。これまでの経験があり、ストラヴィンスキーやカラヤンの芸術を鑑賞している・・・