千曲万来余話その651「モーツァルト曲Vnソナタフルート版をニコレと小林道夫による名演奏・・・」

 4年前9/6未明北海道初で震度7を記録、胆振東部地方地震が発生している。被災からの復興ということで改めてお見舞い申し上げます。盤友人はその時東南空にオリオン座の3つのベルト星を眼に焼きつけたものだった。最近は夜10時ころ東南東に木星が輝き南に向くと土星が判る。天頂には白鳥座、北の十字星でもデネブ、琴座の織姫ベガ、左手下方にわし座の彦星アルタイルという星空が久遠の輝きを放っている。
 9/4ふきのとうホールでは小林道夫モーツァルトプログラム演奏会、その二日前、トーク付き演奏アナリーゼを開催する旨、六花亭から連絡を頂いた。喜び勇んでLPレコード持参して足を運ぶ。200余りの小ホールで会衆は50名あまり、モーツァルトのトルコ行進曲付きのK331などを聴いた。今回手書き楽譜2017年頃発見された草稿譜による改訂版の演奏、1778年パリ作曲という通説に対して1783年頃ウィーンにて完成という説明がなされた。つまり、100年前のトルコによるウィーン侵攻に対する作曲という。トルコ行進曲も従来の姿の縮小版で、トルコ風のスタイル、つまり歴史考証をした上での演奏ということになる。特にその演奏の原型に近いレコードとしてエドウィン・フィッシャー1886~1960チューリヒ没の演奏を指摘していた。ちなみに、小林道夫先生、今年12月で卒寿を迎える東京芸術大学音楽部楽理科出身、現役最古参の一人、日本でゲルハルト・ヒュッシュ、オレール・ニコレ、ジャン・ピエール・ランパル、ハインツ・ホリガー、エルンスト・ヘフリガーほか多数のアーティストとの共演経歴を有する偉大な音楽家である。今書いた演奏家の名前は、盤友人が所有するLPレコードからの引用だけで、実際は多数の演奏家との共演を果たしている。ヨーロッパ音楽家のビッグネイムが指名する日本人鍵盤楽器演奏家、ピアノとチェンバロ奏者のみならず、アンサンブルの指揮者として日本各地で活動経歴がある。札幌でも放送合唱団は指導を仰いでいる。
 盤友人はフルート奏者オレール・ニコレを1969年昭和44年NHK-FMで初めて耳にしていた。大バッハ作曲、無伴奏フルートパルティータBWV1013はカッコよかった! 笛一本で何百人もの聴衆に表現する音楽に、その時の高校2年生は生涯記憶に残る音楽を体験した。LPレコードを購入する基準は、ニコレ、そして共演ピアニストは小林道夫先生だったということである。ニコレはその才能を発見されたのが指揮者ウィルヘルム・フルトヴェングラー1950年の事である。ベルリン・フィルハーモニカーの錚々たる楽員の中に当時23歳の新進気鋭奏者が参加した。彼はスイス、ウィンタートゥール管弦楽団で演奏していたマルセル・モイーズの門下生。
 OX-7220-ND番号ニッポンコロンビアDENON PCM DIGITALレコーディング、モーツァルト・フルート・ソナタ集ト長調K301 ハ長調K301 ホ短調K304など、クラフィーアとヴァイオリンのための奏鳴曲1980年11月6、7日日本コロンビア第一スタジオ録音。独奏ヴァイオリンの音域でフルート用に編曲したのは、オレール・ニコレ。彼のベルリン・フィルでシューマン交響曲4番を映像で確認できるのは僥倖、彼の鋭い眼光の先にフルトヴェングラーは指揮していた。F氏指揮芸術の神髄はアインザッツという合奏する音の入りの緊張感にある。指揮棒を揺らす彼の独自の指揮振りを、しっかり見抜くフルート奏者がオレール・ニコレ、ドイツ音楽の肝を表現体得したアーティストの一人である。小林先生は、日本コロンビア第一スタジオの使用ピアノを「すばらしいベーゼンドルファーだった!そしてここふきのとうホールも素晴らしいピアノですね!!」とさりげなくサインしながら話していただきました。小音量でもステージ一杯に匂うように倍音は鳴る・・・