千曲万来余話その586~「B氏「運命」ベルリン・フィルでやってるねローリンくん・・・」
バーチャル仮想アース、畏るべき光城精工製品の威力たるやオーディオ・アクセサリーという機能を遺憾なく発揮。プレーヤーからの昇圧トランスアース端子に接続、プリアンプ、イコライザーアンプ、60ヘルツ変換器(光城精工製品)、スピーカーのマイナス端子という具合にそれぞれ仮想アースを取り付けることが出来た。結果、オーディオで求める「良い音」とはかくのごときという模範解答を、獲得することになった次第である。
ベルリン・フィルのディスコグラフィーを一覧していてローリン・マゼール1930.3/6ヌイー生まれ~2014.7/13バージニア州没、が登場したのは、1957年2/27にまでさかのぼる。ベルリオーズ、プロコフィエフなどのロメオとジュリエット抜粋録音。そして彼の初めてになるステレオ録音は1958.5/13,14、6/20のB氏ハ短調交響曲第5番である。
数年前に知人からマゼール指揮のものでVn両翼配置ではないか?と聞かれて盤友人はその時マゼールはそれをやらない指揮者だと返答していたものだった、ところがである。独へリオドール廉価盤をじっくり再生してチェックしたところ、明らかにB氏「運命」は両翼配置に聴こえるまでグレードアップしたということにあいなった。すなわち、ステレオ録音には「定位」ローカリゼイションといって、Aチャンネル、Bチャンネルそして中央センターという情報が再生される。これはCDでもヘッドフォンでチェックすると容易で、左右から異なった楽器演奏が認識される。「運命」の場合、第1楽章からすでに、左右でヴァイオリンの掛け合いが認識されるのであるけれど、決定打は第3楽章に確認される。すなわち、静かに低音域から旋律が上昇、ホルンの強奏に展開して、コントラバスから新しいメロディーが駆け上がる。それは、チェロ、アルトそしてセカンドVnという受け渡しが有り、第1Vnでもって一段落する部分、そのセカンドVnから第1Vnへ行くのが右から左スピーカーへという展開になる。これが多数派ステレオ録音であると、右スピーカーから左スピーカーへという滑らかな移行であって聞こえは良いのだが、「ひねり」が無いのである。
時代は、ジェームズ・レヴァインのモーツァルト交響曲全集の完成により、デジタル録音でもって、ウィーン・フィルハーモニーはVn両翼配置の時代へと推移していくことになる。ドイツ・グラモフォン録音でVn両翼配置録音は、革命的事件であって、レコード業界に火種をもたらすことにあいなる。ジミーは、2021.3/9逝去、晩年にはハラスメントのゴシップまみれということでそのこと自体に盤友人は何か意図的なものを感じている。ウィーン・フィルがヴァイオリン・ダブルウイングでもって録音すること自体、他の指揮者連中にとって脅威になり、すなわち、タブーとされていた両翼配置の再評価が進行する展開を、指揮者達、レコード業界は警戒しているのである。
率直にいって、盤友人の目には、コントラバスの指揮者右手側配置、もはや時代遅れといわざるをえない。それは中央、もしくは左チャンネルという配置が許容される新しい時代というまでである。ちなみに、マゼール指揮するベルリン・フィル58年録音「運命」の定位は、コントラバス・チェロが中央である。
盤友人は、レコードを収集するからには、多様性を受け入れる立場をとる。だからVn両翼配置の演奏を探し求めるのであり、ラファエル・クーベリック指揮のDG録音B氏の交響曲全集は、オーケストラの多様性と共に第5と第2番は両翼配置を採用していないという事実であり他はすべてダブル・ウィングというステレオ録音である。何と愉しい事なのではないのだろうか。
ローリン・マゼールは、おそらく、Vn両翼配置をただの1回だけ記録したのだろう、不可断言ではあるが・・・