千曲万来余話その562~「シューベルト五重奏曲鱒、ベルリン・フィル楽員による・・・」
シューベルト1797~1828は、16才1813年に交響曲第1番ニ長調を作曲していて、第5番変ロ長調は1816年、「未完成」は1822年頃で「グレート」は1828年とされている。ピアノソナタは、1815年に始まり1828年に第21番変ロ長調作曲まで続いている。弦楽四重奏は、1812年に第1番変ホ長調を始めに第15番ト長調は1827年作曲になる。作品1歌曲魔王は1815年なのだけれど1811年には歌曲を作曲し始めていて、1828年までに600曲を超えることになる。1817年には「ます」を作曲していて1819年第4楽章の主題と変奏に用いられた5楽章からなるピアノ五重奏イ長調作品114が発表された。
楽器の編成は、弦楽はヴァイオリン、アルト=ヴィオラ、チェロ、コントラバスそれに鍵盤楽器ピアノというもの。音域は、ピアノがベートーヴェン晩年ということでC1ド32.70ヘルツ~f4ファ2793.83ヘルツ。中央の「ラ」は440.00ヘルツでもって、だいたいでいうと、赤子の泣き声に近いといわれている。男声はド261ヘルツ~下へ「ソ」98ヘルツ、ハイツェーといわれる「ド」は523.25ヘルツ、女声は下のソ196ヘルツ~上の「ド」1046.50ヘルツくらいである。Vnはソg196~ミe2637ヘルツ、アルトはドc130ヘルツ~ソg1567.98ヘツくらい、チェロはドc65.41ヘルツ~ファ1396.91ヘルツ、コントラバス4弦はミ41.20ヘルツが最低音域となる。
弦楽四重奏では最低66ヘルツくらいから最高音域2673ヘルツ、ピアノ五重奏曲鱒では下が41ヘルツまで広げられたことになる。室内楽の先例として、ベートーヴェンは作品20で七重奏曲変ホ長調はVn、アルト、チェロ、コントラバスとクラリネット、ファゴット、ホルンという編成1800年の作曲になる。ウィーン市民としてのシューベルトはベートーヴェンが理想の作曲家とされ、動機として無二の存在だった。当時はロッシーニのオペラが盛んに取り入れられていた時代でも青年作曲家にとっては、室内楽が向かい合う音楽だったのかもしれない。
モノーラル録音の時から、五重奏曲鱒は取り上げられていて、優れた演奏に恵まれている。そんな中でオイロパ・フォノクラブ、シュトゥットガルト盤オスカール・ローテンシュタイナーのピアノ、Vnジークフリート・ボリス、Altハインツ・キルヒナー、Celloウィルヘルム・ポセッガ、Cbクルト・ヴァルナーが演奏したベルリン・フィル楽員たちのレコードは味わい深い演奏である。ジークフリート・ボリス1912~1980は1933~41年そして45~61年までベルリン・フィルハーモニーのコンサートマスターを歴任していて、フルトヴェングラーとカラヤンの下で在任していたことになる。途中の41年から45年まではベルリン国立歌劇場のコンサートマスターに就任、カラヤンが抜擢していた。このレコード録音は多分1960年頃のもので、チェロコントラバスの響きからして、フィルハーモニカーをほうふつとさせていて、ボリスのVnは40~50代脂の乗り切った演奏を披露している。何よりも歌謡性と躍動感が備わっていて、青年作曲家の音楽に相応しい気迫がみなぎっている。
モノラル録音ということでステレオ的定位の問題は無く、自由に楽器の配置を想像して楽しめることうけ合いである。舞台中心にチェロを配置、左右にVnとアルトを対向させる。下手側にはコントラバスそして上手側にピアノを配置する。ピアノ奏者は背中で弦楽演奏を感じて、首を右に振ればアイコンタクトは可能である。ステレオ録音の多数はピアノを中央の配置としてVnとコントラバスを対称させるものなのだが、左スピーカーからコントラバス、そして右スピーカーからピアノを鳴らすというのは、盤友人の希望的提案である。舞台下手にコントラバスというのは現代における復古的主流だろう・・・