千曲万来余話その458~「ショパンの夜想曲第二番を弾くコルトー、記録再生する歓び」
ショパンは、シューマンと同じく1810年で3/1ワルシャワ近郊生まれ1849年10/17パリにて没。三曲のソナタ、他に二曲の協奏曲、前奏曲集、練習曲集、ワルツ集、マズルカ集、四曲のバラード、スケルツォ、そして夜想曲集やチェロソナタなどなどピアノ音楽を主に作曲を残している。
古典派に続く、シューベルトやリスト、そしてメンデルスゾーン、シューマン、ショパン達はロマン派ということで呼ばれている。ベートーヴェンは古典派でありながら、すでにロマン派の音楽を内在させているのだが、ショパンは明らかにロマン派。どこが違うのかというと、音楽の構造、形式によりながら、感情の表出を前面に押し出しているところが、古典派に続くロマン派の面目躍如たるゆえんである。ロマンというのは、永遠なるものを求める精神の発露であり、浪漫という漢字あてはめた感覚は、いかにも印象的である。
オーディオの世界で、アナログとデジタルという二つの側面があるのだが、現在の多数派はデジタル、ところがアナログを指向する趣味の世界はしっかりと存在する。真空管アンプ、LPレコードプレーヤーへのこだわりは、究極のアナログであり、深くて大いなる音楽の楽園パラダイス。日々新たし、果てしがない。最近、パーツをドイツ製品に集中させて製作したラインアンプを入手した。ラインケーブルもドイツ製品、スピーカーもオイロダインの励磁式フィールド電源仕様、ということで札幌音蔵社長KT氏渾身の力作をドライブすることになった。メインアンプはPX4という三極出力管のモノラルタイプ、すなわち真空管アンプのマッチングが一段階向上したということである。フォノイコライザーはLCRで音蔵製品。デジタルのCDで聴くのとどこが違うの?という素朴な疑問は、普通の人なら当たり前であろう。
LPレコードというと、オリジナルの初版盤は相当な価格、ところが、再発のレコードは安価で入手可能である。ショパンの夜想曲、第2、4、5、7番を続けているドイツ・エレクトローラ盤を再生してみた。アルフレッド・コルトー1877,9/26ニヨン~1962,6/15ローザンヌ没。1949~53年録音の夜想曲ノクターン。以前から聞いていたものだが、その再生した音に、驚天動地、たまげてしまった。CDとLPは違うと、人は口にするのだけれども、それが、どのように、どれくらいの違いまでかは、人それぞれであろう。一言でいうと、倍音、そのニュアンスの差異に尽きる。コルトーの録音が、一定の情報で記録されているのだが、オーディオ機器をグレードアップすることにより、その世界が実感されることになる。あきらかに、以前の感覚とは截然と異なる。彼の使用している楽器メーカーはフランスのプレイエルだということをきいている。ホロヴィッツやルービンンシュタインなどのスタインウエイとは、違う世界。何が違う、それは、低音域の倍音の手応えだ。今までは、少し違うなあという感覚だったものが、明らかに違うという具合にグレードアップした。アナログ世界ならではの向上で、スピーカーに空気感が充満する音、振動感が放射されて顔全体、身体全体で実感する具合なのである。夜想曲第二番は作品9-2で、映画愛情物語、キムノバク主演というとお分かりの方は、盤友人と同世代。メロディーを聴くと多数の方は聴かれたことがおありと思われる名曲。1830年頃の作曲で、二十歳の作曲とは思われないほど天才ショパンならではの音楽、これをサロン音楽と理解するか、妙なる音楽と評価するかは、その人の人間性によるものであり、切り捨てるには惜しみてなお余りあるものがあるというのは、最近の盤友人の心境である。