千曲万来余話その435~「モーツァルト、ピアノ協奏曲第18番変ロ長調、フィルクスニーの名演奏」
6/18月曜日午前八時前、震度六弱の大きな地震が大阪北部に発生、被災された皆様方にお見舞い申し上げます。何かと不自由な生活を強いられることは天災の常、ここを乗り越えられますように。 季節は梅雨で、札幌もエゾツユといって、曇天の日が続く。気温は二十度前後。雨量はそれほどでもないのだが、九州四国地方は相当なもので、二次災害が発生しないように祈念する。
梅雨というと、雨、が話題になるのだけれど、他面、太陽光線からしのげるというメリットもあるらしい。すなわち、雲というものが直接の日射をさえぎり、紫外線被害から遠ざけているということも考えられるらしい。いずれにしても、この季節を乗り切って太陽の恩恵にあやかりたい。
ジョージ・セル指揮するケルン放送交響楽団、ルドルフ・フィルクスニーのピアノ演奏によるモーツァルト作品、ケッヘル番号456が、キングインターナショナルから、リリースされている。レコード二枚組で、カップリンクはズデニエク・マーカル指揮による、K450というピアノ協奏曲第15番。聴いてみて、指揮者による違いか゛如実に分かり、面白かった。
ジョージ・セル1897.6/7ブダペスト出身1970.7/30クリーブラド?没、彼の晩年はクリーブランド管弦楽団とのコンビネーションで1946年から常任指揮、音楽監督を務めていた。四半世紀という業績は特筆すべき事実で、オーケストラをして、彼の楽器とまで称賛されていた。当時フィラデルフィアには、ユージン・オーマンディという名物指揮者が居てアメリカビッグファイブ、他に、ニューヨーク、ボストン、シカゴという交響楽団が隆盛をほこっていた。
特にセルとオーマンディはハンガリー出身で、フリッツ・ライナーやゲオルグ・ショルティなども同郷である。中でもセルはウィーン音楽院出身で、その音楽性はモーツァルトに相応しい。エーリヒ・クライバーの下でベルリン国立歌劇場などの経歴、リヒャルト・シュトラウスの薫陶を受けるなど、音楽的に観て、ヨーロッパ音楽のエキスに立脚して、なおかつアメリカのオーケストラの機能性高いアンサンブルに拍車をかけている。かのシュトラウスからは、管弦楽法の基礎として、ビゼーの交響曲を指摘されていたという証言もある。
セルはピアノ演奏も長けていて、Vnドルイアンとの二重奏のレコードも素晴らしい。指揮者として、管弦楽の大オーケストラも手中に収めているのだが、ここでは、弦楽器の統率力に非凡な才能を発揮している。モーツァルト、1784年の作品として、K449変ホ長調、450変ロ長調、451ニ長調、453ト長調、456変ロ長調という具合、名作の森である。ここでの、K456第二楽章モーツァルトの哀しみは、ことさら特徴的である。
ピアニスト、ルドルフ・フィルクスニー1912.2/11~1994.7/19チェコ、モラヴィア出身でアメリカのスターツバーク自宅で死去。彼の演奏の本領は、気品の高い優美な音楽に発揮されている。一聴して分かることは、端正な演奏、清潔なタッチ、優雅な音楽を披露していることだ。それが、緩徐楽章のあと、終楽章では決然としていて俄然、雄渾な音楽が姿をあらわす。ピアノというと、コンサートでの多数派はスタンウエイ、ところが、F氏はベーゼンドルファーを使用していて、一際、精彩を放っている。これは、クレジットされていないから、誤解かもしれないことだけれど、盤友人が再生すると低音域の雄大なことからそのような印象を受けるというまでである。ということは、レコード会社の責任、使用楽器クレジットは必要であるということを付け加えておきたい。スタインウエイが多数であることにより、省略されているわけだが、ならば少数派のクレジットは明記してほしいものである。