千曲万来余話その429~「ミカーラ・ペトリ、佳人リコーダー奏者によるソナタ集」
5月31日、午前11時と、午後9時に同じLPレコードを再生して聴感上の違いの確認をした。太陽が東から西へと移行するという認識ではあらず、太陽を中心に地球が西から東へと自転するという感覚、すなわち、太陽が頭部から自分は東方向へ回転することにより、夜には遠心力が発生するという感覚である。そうすると、スピーカーはきわめてフカフカという音響の密度が充満する感覚を受けるのである。チェンバロで確認すると、その振動感の直進性は極めてリアルである。
1984年フィリップスのディジタル録音、ミカーラ・ペトリによるリコーダー、ジョージ・マルコムのチェンバロ演奏によるヴィヴァルディ、コレルリ、マルチェルロなどのソナタ集を鑑賞。ジャケット写真を見るまでもなく、ペトリが来日して彼女のリサイタルに足を運んだ人の話によると、相当な美人、という情報を耳にしている。白人、デンマーク出身の音楽一家に生まれた環境で、なにより、確実な技術を披露する演奏は、聴く人を虜にする魅力たっぷりのアーティスト、天は二物を与えたもうた稀有な佳人リコーダー奏者である。この録音では、発音に際してブレスが生々しく、近接録音でありながら、スタジオの音響も鮮明に記録しているという優れた録音で、オーディオの醍醐味、ステレオ録音のピークである。
確実な技術というのは、厳しくも日ごろの修練の賜物、発音は容易でありながら、余人の追随を許さない天才演奏家としての境地に到達しているレコードがたくさん有る。その中の一枚なのだが、ソプラノリコーダーやアルトリコーダーを駆使して天衣無縫な遊びを展開している。ジョージ・マルコムというチェンバロ奏者の経歴を、盤友人はデイヴィッド・マンロウの時代から認識しているビッグネイム。自由闊達な音楽演奏に、溜飲の下がる思いをするのは、自分一人だけのことなのだろうか?
彼女は、美人であるというだけの人、失礼、は他にも多数存在するのだが、たとえば、リズとか!ペトリのLPレコードを再生する歓びは、ドキドキするときめきを味わいたい御仁には、最適のソースといえるのであろう。