千曲万来余話その312「シベリウス2番、はるかな古典配置の呼び声、モントゥーLSC番号」

さっぽろ雪あかりの物語、札幌交響楽団による名曲コンサートに足を運んだ。立春、とはいえ雪に囲まれた中島公園にあるコンサートホール、キタラは音楽の殿堂にふさわしい。
ショパン、ピアノ協奏曲二番ヘ短調は、彼が最初に作曲したもので楽譜出版の都合上、作品番号は付けられたという作品21。管弦楽による短い序奏のあとに、ピアノが、カーンと演奏をはじめる華麗ブリリアントなスタイル。この演奏会は一年前から予告されていて、ということは、それだけ入念な準備がなされというか、温められた企画で楽しみにされていたお客さんで満席のホールは、幸せな雰囲気に包まれていた。客席、上手側最前列で聴くと、アルトの音響が興味深かった。
裏板が底になり、楽器の上方に音はまとまっていて、それはヴァイオリンが上下に響きを発散させるのと異なっているのがよく分かる。演奏者達が入魂の表情も鮮明で、演奏会が、管弦楽全員の気合いで組み立てられているのが伝わり、そこへ、ピアニストが気合い一発、演奏開始されて一気にショパンのほほえみが思い浮かぶことになる。
牛田智大ともはる、1999年いわき市出身、上海で育ち、現在はモスクワ音楽院ジュニアカレッジに在籍、ユーリ・スレサレフ、ウラディーミル・オフチニコフ各氏に師事している。 「確信に満ちたステジマナー立派なテクニックを披露してアンコールに幻想即興曲嬰ハ短調作品66というおまけつき。ピアニストとして完成した音楽を提供する楽しみな存在で、リスト、ラフマニノフの曲が聴きたくなったし、彼の演奏ぶり、テクニックにふさわしいのでは?と思われた。最前列で聴くとピアノという楽器で倍音がわんわん響き、それが聞こえてきてわくわく感、極上だった。
コンサートの前菜として、グリークのペールギュント第一組曲、メインディッシュはシベリウスの第二交響曲というもの。指揮者とオーケストラメンバーのコミュニケイション、アイコンタクトも充分で、穏やかな雰囲気だった。
気になったのは、作曲上、第一と第二ヴァイオリンのみのユニゾンとか、チェロとアルトの演奏だけとか、作曲者の工夫が随所に聞かれて、この楽器配置は、一体これで良いのか?という疑問がふつふつと湧いてくる。ホルンのゲシュタプといって弱音器がつけられた音、あんな方角から聞こえるというのは、作曲者の意図なものか、コントラバスが奥に配置されていて、といってもチェロのすぐ後ろだけれど、弦楽器の聞こえ方は、スカスカ。コントラバスとホルンの配置を交換すると聞こえ方として面白いだろうと思われた。
すなわち、1960年代から主流の、ヴァイオリンとコントラバスが開いた配置は、いかがなものなのか?ということを盤友人は考える。ちなみにコントラバス、チェロ、アルト、第二ヴァイオリンのようにステージ下手側から展開すると、ストリング、開放弦は低音から順番に滑らかになる。第一ヴァイオリンの奥にチェロが音響を支えていて、ステージ上手側でアルト、第二ヴァイオリンが合いの手の音楽で共通しているとステージ上での音楽が整理整頓されることになる。 「とにかく、ピエール・モントゥー指揮するロンドン交響楽団は、両翼にヴァイオリンを展開する録音で古典配置の音楽が愉しめるから、生の音楽が最高とは云えないだろう。高関健さんに期待大!