千曲万来余話その301「ベートーヴェン、第二交響曲ニ長調をA・トスカニーニ指揮で聴く」
明けましておめでとうございます。みな様にとって実りある一年となりますように!
クリケットレコードに事情があり新年の開店が遅れることになりました。鋭意挽回に努力します。
B氏(ベートーヴェン)は交響曲第二番ニ長調作品36を1802年に完成している。彼は、家系にオランダの由来があり、祖父が蘭アントウエルベンから移住しドイツ人女性と結婚、父親はボンで同じくドイツ人女性を妻としている。つまり、十六分の十二はドイツ人。 ルートヴィヒ・ヴァンというのは、オランダ語の「の」にあたり、フォンという貴族称号とは異なる。1770年12月16日頃出生17日洗礼記録を残している。40歳まで1772年生まれと思わされていたという。彼が聴覚の衰えを自覚したのは、1802年6月頃のこと。ハイリゲンシュタットの遺書10月6日付けで弟に。この頃、リヒノフスキー侯爵に献呈されたニ長調交響曲を完成している。政治的にはリューネヴィル条約の締結がありオーストリア、プロシャとフランスの和解が成立してナポレオンが終身統領に就任するなどの情勢である。
第二交響曲第一楽章、小節数は360小節、作品番号は36であることに注目したい。02年の完成。
明るい音楽で、アダージョ・モルト、アレグロ・コン・ブリオ。アダージョというのは、バレー用語で古典バレーでは、パ・ド・ドゥの一部分を指して、男女の愛を表現する緩やかな動きを表現。 アレグロは快速で、コン・ブリオは勇気を持ってという速い音楽用語。序奏部は33小節ほどで三つの部分からなり、そこのところ、第一番とは異なっていて安定した音楽になっている。
アルトゥーロ・トスカニーニ、1867年3月25日、北イタリア、ボローニャのパルマ出身。1957年1月16日ニューヨークにて死去。今年は生誕150年没後60年というアニヴァーサリーイヤー。彼は1954年4月4日、NBC交響楽団、カーネギー・ホール・ラストコンサートまで指揮演奏を続けた。チェロと作曲を修得して、1886年、チェロ奏者兼合唱指揮者としてリオデジャネイロで、代役、歌劇アイーダの指揮者デビューを果たしている。87年、ミラノ・スカラ座でチェロ奏者参加した歌劇オテロ初演以降、指揮活動の専念、レオンカヴァルロの歌劇道化師のイタリア初演、プッチーニ作曲、ラ・ボエーム世界初演など、華麗なキャリアを残している。
1898~03、06~08年スカラ座の首席指揮者を務め、08年ニューヨーク・メトロポリタン歌劇場でアイーダを指揮するなど、カルーソーら歌手達とオペラ史に残る時代を築いた。1913年には、第九を指揮してコンサート指揮者デビューを果たして1930年にはバイロイト音楽祭に登場し、タンホイザーを指揮した。1937年からは、彼のために組織されたNBC交響楽団を指揮している。
1949年11月7日、1951年8月5日録音データによるB氏の第二交響曲は、実に整然とした演奏である。明快な歌謡性、カンタービレで演奏者達の歌心がよく伝わってくる。明晰な演奏、フレーズがかっちりと際だっていて、句読点のよく分かる演奏に仕上がっている。 明確なビートで、リズム感がよく整っていて、オーケストラ演奏が一丸となって聴いて快い。 「モノーラル録音レコードなのでモノーラル専用カートリッジを使用すると、スピーカーが渾然一体となった音響サウンドで豊かな印象を与えてくれる。彼の取っている楽器配置の正統性を物語っているのではないか?他の演奏では、味わえない感覚なのである。