千曲万来余話その266「二人のゲオルグによるブラームスの奏鳴曲、名演奏を聴く」

ゲオルグ・クーレンカンプ1898.1.23ブレーメン~1948.10.5チューリッヒ没は、モノーラル録音時代の名ヴァイオリニスト、歴史的にはヒットラー時代の名演奏家である。 30~40年代に録音は集中していて、その中に、ピアノを名指揮者ゲオルグ・ショルティが演奏したブラームスのヴァイオリンソナタ三曲がある。若きショルティの演奏、それもピアノ演奏が聞けるという一枚で二度おいしい録音である。大変立派な音楽で、ロマン派ブラームスの芸術がたっぷりと味わえる。ショルティ1912.10.21ブダペスト~1997.9.5南フランス没。
SP復刻の1965年プレスのLPレコードの情報は鮮明で、ピアノの鳴りっぷりがクリア!、第一番ト長調など、高音の輝き、低音の重量感からして、さてこれは、ベヒシュタインではないか?と思わされる。ところが第二番イ長調になると音色が一変する。よくよく聞き込むとと、さては古いスタインウエイの音色か?ということまで、思いは巡らされる。第三番ニ短調、これはもしかすると、ベーゼンドルファーの響きではあるまいか?と、どんどん思考のヒートアップが進んでしまうから、面白いこと限りない。ちなみに、録音データ不明で根拠は、音響による印象だけである。そのように思わされると云うまでだ。
クーレンカンプの演奏で、ヴィヴラートのスタイルに特徴がある。肌理のこまかいヴィロードの肌合いで、印象に残る素晴らしいものになっている。
モノーラル録音時代、音楽の世界は豊穣である。盤友人は、しみじみとそう思う。