千曲万来余話その262「シューベルト、交響曲全集アーノンクール指揮デジタルライヴを聴く」
「リオデジャネイロという都市名、リオは小川でジャネイロは1月というほどの意味だそうだ。
金メダルはその競技種目の世界一位を決定して、最高位獲得者に授与されるから、その意義は決して小さくはない。競技自体も次第に熱を帯び、陸上近代十種など、試合が終了するとアスリートたちは互いに労をねぎらい、たたえ合う姿を映像は映し出していて、感銘を覚えた。オリンピックは、まさにスポーツの祭典である。
スポーツは、個人、自他の闘いによる優勝劣敗の競技であるのに対して、芸術は、表現者自体の内面世界、切磋琢磨の追求であり鑑賞者との一種、闘いである。表現者における自己対自己の格闘鑑賞であり、美的世界の共有である。特に音楽は、時間の芸術、遺産の再生を通して、芸道、究極の鑑賞であり、洋の東西を問わず、切磋琢磨の世界であろう。
シューベルト1797、1、31ウィーン~1828、11、19ウィーンわずか31歳と10ケ月余りの生涯だった。彼は9曲前後の交響曲を残している。微妙な言い方になるのは、出版楽譜の存在は8曲で、ほかに2~3曲ほど作曲はしているらしいからである。
2003年から2006年にかけて、ニコラウス・アーノンクール2016年3月5日死去86歳、ベルリン生まれは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とデジタル・ライヴでシューベルト交響曲全集録音を成し遂げている。2015年LPレコードリリースされているのが手元に届いた。
ちょっとしたハプニング、最初、耳にしたのは、右スピーカーから第一ヴァイオリンとコントラバス、左スピーカーに第二ヴァイオリンとアルト=ヴィオラ、中央にチェロという定位であり、びっくりしてしまった。ハ長調グレートの第三楽章を聴くとよく分かる。
ややしばらくして、昇圧トランス、四本の差し込みをチェックして失敗に気が付いた。 「モノーラルレコードを聴いたあと、ステレオを聴くときに、差し込みが悪かったことに寄る。 「アウトプットとインプットが逆配置であり、RとLの指定に誤るとその結果になった次第である。多分、普通の人は余り、リスクのない過程であろうけれど、盤友人は、心しなければ、ミステイクしてしまう結果である。用心が肝要。
アーノンクールの演奏は、風格があり、アクセント記号とデミニュエンドの校訂を経た、推敲による泰然自若の演奏に、ベルリン・フィルによる雄大な音楽で、まことに立派なレコードに仕上がっている。録音定位が確定されると、ヴァイオリンの第二とアルトが右スピーカーから流れだし、ポリフォニー音楽、複数声部による愉悦が鑑賞者に理解されて、嬉しいこときわまりない。
マイナス要因を解決クリアし、LPレコードの快楽が経験できて、幸福至極である。