千曲万来余話その254「ショパン、ポロネーズ集をG・シフラの名録音で聴く」
ネッシー、ヴィニールマスターでレコードクリーニングをかけると、プチプチシュワシュワというノイズはかなり減少するという報告をすでに述べている。 ところが、レコードの溝の摩擦係数がまだ高いために、すべり抵抗が有るように聞こえる。 そこで、音蔵のクリーニング液で表面に磨きをかける。そうすると、音質で高音域の輝きが再生されるようになる。 おと数が一つの、ピアノソロのレコードを再生すると、そこのところ明瞭に変化が確認される。
ネッシー・クリーニング・マシンの洗浄液は音蔵のクリーニング液を使用するのが最良の方法である。
フィリップス録音で、ショパンのポロネーズ集を ジョルジュ・シフラ1921.11.5ブダペスト~1994.1.15パリの演奏で、鑑賞した。 1956年のハンガリー動乱をきっかけに、西側に亡命した天才的ピアニスト。苦学して不遇の時期を乗りこえ、川を渡り、長距離を徒歩で移動、西ヨーロッパにたどりつき、念願の自由な演奏活動を開始できたという経歴を持つ。リストの再来とまでいわれ、ヴィルトゥオージティー名技性を遺憾なく発揮した豪放な演奏スタイルを披露していた。
ポロネーズ集は、ミリタリー軍隊で始められる。その音に集中して耳を傾けると、大半のピアノと音色が違うことに気が付く。低音域の倍音が実に豊かで、まろやかな耳あたりの良いピアノの音色で、スピーカーが喜んで再生している感覚である。 1970年代の、ウラディーミル・ホロヴィッツのCBS録音で英雄ポロネーズを再生する。 そうすると、耳に付くのは、華麗な技術を誇る彼の演奏スタイルである。ただし、ピアノの音は輝いていても、味わいは、虚ろである。空虚というのは、言い過ぎであるけれど、スタインウエイの華麗な音色も、シフラの重厚な音色の足下にも及ばない。
たぶん、ベーゼンドルファーをシフラは、鳴らしきっているのだろう。 ホロヴィツツは、膨大なレコード録音を果たしているし。多数の聴衆を感動させる偉大な名ピアニストであるということに異論を挟む余地はない。 シフラは、それに比較できる大セールスを達成していたものでもないだろう。
ただ、ポロネーズ集でシフラのピアノ音楽は、オーディオをしっかり詰めていくと、再生する世界は実に雄大で、堅牢なポロネーズという音楽の愉悦を味わわせてくれること、受けあいである。 世にいわれるほど、ポピュラリティーは獲得していないけれど、その音楽的価値は、不滅である。