千曲万来余話その211「シューベルト華麗なるロンド作品70、マルツィとオークレール」
フランツ・シューベルト1797.1.31ウィーン生まれ~1828.11.19ウィーン没
音楽的には、ロマン派といわれる。ベートーヴェンには古典派からロマン派への飛躍が見られるのに対してシューベルトの音楽には、新しい世代の芸術が花開いている。
ヴァイオリンとピアノによる小品、ロンドブリリアンテ、ロ短調作品70、ドイチュ番号895は、演奏時間10数分であるけれど、技巧的に高度な内容を要求される音楽になっている。演奏される機会も少ない。
ヨハンナ・マルツィ1924.10.26ティミショアラ~1979.8.13チューリヒ
リスト音楽院でイェーネ・フバーイに師事、13歳でデビュー、19歳でメンゲルベルク指揮ブタペスト・フィルとチャイコフスキーの協奏曲を共演を果たしている。戦争が終結して、1947年ジュネーブ国際コンクールで一位なしの最高位を獲得という輝かしい経歴を持っている。
1955年11月ジャン・アントニエッティのピアノと共演して、EMIに、シューヘルト作品の録音をしている。
ゆったりとしたテンポで、格調高く、作曲者自身が演奏しているかのようにとまで高い評価を得ている。余裕のある技術を披露して、古典的なたたずまいの演奏であるのに対して、異なったタイプの演奏を披露しているのが、ミッシェル・オークレール。
1930.11.16パリ~2005.6.10パリ、パリ音楽院でジュール・ブーシェリに師事。
1943年ロン=ティボー国際コンクールにわずか13歳でグランプリ獲得している。
ジャック・ティボーにも指導を受けていて、演奏スタイルは、即興性を重んじるものになっている。
ジュネヴィエーヴ・ジョアのピアノとの共演によるシューベルト、エラート1962年10月録音
は、情熱的な演奏に仕上がっている。
オークレールの演奏は天才的な技巧を披露していて、息をのむような印象を与える。
ピアノのジョア女史も見事に共演を果たしていて、シューベルト1826年作の作品として息吹をこめている。
ヴァイオリンの演奏も、静と動の対比的なアプローチでもって作品演奏の違いを愉しむことができる。レコードの世界は、豊かで実り多い花畑の広がりだ。