千曲万来余話その183「ラフマニノフの弾くショパンの第二ピアノソナタ葬送行進曲付き」
平成27年2015年師走、14日、午後10時から30分ほど夜空をながめて、星の数を数えていた。
ふたご座流星群、出現について情報媒体メディアの気象予報士たちは、その方角を言わないでいたけれど、星ナビ誌を調べると、東の方角から天頂付近というのが分かる。北の空にはビッグディッパーが地平線付近がら立ちのぼる頃、南の方角には、ベテルギウスを頭にしたオリオン座、左下にはプロキオン、右にシリウスの三角形がくっきり、天頂には、ボルックスとカストルの双子座がくっきりと輝いている。
三十分眺めていて、10回ほど光線がなびいた。流れ星をこれほど眺めたのは、初めて。
その日には、SP録音復刻RCAのレコードを再生していた。
セルゲイ・ラフマニノフ1873.4.1露ノヴゴロド州オネグ生1943.3.28米カリフォルニア州ビヴァリーヒルズ没は、1930年2月、SP録音を残している。ショパンのピアノソナタ第二番葬送行進曲付き。彼は、ロシアに生まれ、数奇な人生をアメリカで閉じている。
その第三楽章、葬送の鐘を突き鳴らすかのような低音をピアノの演奏で思い知らされた経験は初めてである。
だいたい、ピアノソナタの演奏でピアノのメーカー明記のレコードは、有る方が数少ない。多数派はスタインウエイ、なぜなのか?重複を避けるからメーカー名を伏せていると考えるのが自然だろう。
スタインウエイの音が即ピアノの音だとイメージ固定化されるのは、不幸というもの、そのことすら気付かされないのが現実である。ヴァイオリン両翼配置にしても、それが特殊というイメージ化は時代というもので、第一と第二Vnを束ねる方が、指揮者優位の発想であり、作曲者のデザインは、開いたのがパレットだろうという感覚を大切にしたい。最近のコンサートに足を運んで、痛切に思い知らされる。
かの、ラフマニノフのピアノの音色はクレジットが無いだけに、その音色に圧倒され、印象が強烈である。予想されるメーカー名は、ベヒシュタイン。最近TV放送でその名にお目にかかった。めずらしい。
大正時代創業のヤマハピアノの原型プロトタイプ。その時代では、主流であったと推測される。
ラ氏の演奏は、ダイナミズムの対比が克明だ。通り一遍の演奏が一般的でその表情は目の前を地下鉄車両が通過するごときなのだけれど、彼の演奏は、そこのところがひと味違う。今年、知人の死を経験している身にとっては、沁みること、お分かりだろうか?彼の生前の姿を思い描いてしまう。晴天の冬、星空に・・・