千曲万来余話その159「「メンデルスゾーン、その真実は何か?」
フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ1809・2/3ハンブルク生まれ~1847・11/4ライプツィヒ没は、ロマン派音楽の旗手である。
彼のヴァイオリン協奏曲ホ短調作品64は、コンチェルト第一級の名作である。彼の作品は誤解されることが多くて、よくプログラム標題にかかわって、二流の作曲家のように評価されているようである。
世界Vn三大協奏曲としては、ベートーヴェン、ブラームスそして次に来るのが、チャイコフスキーなものか?
共通しているのが、ニ長調というものだ。
そもそも、この調性は開始のものをさすだけであり、それ以上のものではない。ただし、ニ長調というのは管弦楽が、実によくハーモニーする調性であることは確かだ。M氏の協奏曲はホ短調。
第一楽章は、ソナタ形式で、提示部、展開部、カデンツァを経過して、終結部を迎える。
彼のホ短調の協奏曲は、この典型として、第一級であると同時に、音響的にも立派な低音域の支えがある。
第二楽章の緩やかな音楽も、独奏楽器の歌を支えているのが低旋律である。低音域が深い感動を与える。
メンデルスゾーンは、第一級の協奏曲を生み出している。
ひるがえって、シンフォニー交響曲作曲の父は、ヨーゼフ・ハイドンで、第104番ロンドンまで作曲している。
ある評論家は、たとえば、ヴィヴァルディは、一通りの作曲法で600曲余り作曲したのに比較して、ストラヴィンスキーは、それぞれ異なる作曲法で全てを作曲していると述べていた。その言を借りて言うと、ハイドンは一通りの作曲をしているのに対して、ベートーヴェンは、全て異なる作曲法で9曲を書いていたと言えようか?
シンフォニーの前身は、シンフォニアというもので、三声部の管弦楽曲が基になっている。
高音域、中音域、低音域、この三声部は、それぞれ第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリンとアルト、チェロとコントラバスという弦楽五部による三声が実体となる。管弦楽であるから、二管編成、三管編成と木管、金管楽器その上に、ティンパニーなどの打楽器が加わる。ティンパニーという楽器はただ単にリズムを刻むだけではなく、音程を持っている。ハーモニー和音を補強する楽器であるところが、おもしろい。
メンデルスゾーンには、第三番スコットランド、第四番イタリアという聴きやすい、プログラム標題交響曲の傑作がある。オットー・クレンペラー指揮するフィルハーモニアオーケストラ・オブ・ロンドンによるものは名盤だ。