千曲盤来余話その107「モーツァルトを指揮するJ・レヴァイン」

モーツァルトの交響曲やセレナードを指揮するときに、管弦楽団の配置が面白い。
モノーラル録音では、そこのところ、問題はないのであめけれど、ステレオ録音になると第二ヴァイオリンをどのように聞かせるかという問題が発生する。
昔の指揮者はそこで、どのように聞かせていたのかというのは、実は、問題があったのであって、全く無いわけではなかった。
いずれにしろ、第一ヴァイオリンと、第二ヴァイオリンを並べるか、舞台両袖に開くかというのは、作曲者の時代から存在した問題であろうと、盤友人は考えている。
指揮者ジェイムズ・レヴァイン1943・6/23生まれは、1964年21歳の時、ジョージ・セルに招かれて、クリーブランド管弦楽団の副指揮者に就任している。その彼は、1980年代にウィーン・フィルを指揮してモーツァルトの交響曲全集の録音を果たしている。
その音楽が、ヴァイオリン両翼配置のステレオ録音でなされている。 これは、画期的な偉業である。
レヴァインのステレオ録音が、ほかのステレオ録音を否定するのかというと、そう言うわけではない。ひとつのありようというのであって、それが全てではない。
たとえば、ブルーノ・ワルター指揮したステレオ録音は、演奏が馥郁とウィーン風の音楽を表現していて、不滅の芸術であることに変わりは、ない。 ただし、そのウィーン・スタイルのモーツァルトの演奏が、ヴァイオリン両翼配置で演奏されることは、これからのステレオ録音として、必要条件であるのではないか?
レヴァインのモーツァルトの音楽を聴くとき、第二ヴァイオリンの音楽が雄弁である。 聞こえやすくなっている。
以前のステレオ録音では、第一と第二ヴァイオリンが左のスピーカーから聞こえている。ところが、レヴァインで聞くとき、右のスピーカーから第二ヴァイオリンが聞こえてくるために、音楽が躍動的である。
ためしにアイネ・クライネ・ナハトムズィークの第4楽章をお聞きになると良いだろう。