千曲盤来余話その79「モーリス・ラヴェルによるVnソナタ」
彼はパリに遊学したガーシュインに対して、あなたは既に一流であって、二流のラヴェルになどなる必要はない、そのように語ったというエピソードがもれ伝えられている。真偽のほどは、さだかではないけれど、1917年にスワニー、そして1928年にはパリのアメリカ人を発表しているジョージは、きわめて美しいメロディーメーカー、作曲家であったことは間違いない。
ラプソディー・イン・ブルーは、余りにも美しいピアノコンチェルト風作品である。 ラヴェルの唯一のヴァイオリン・ソナタである第二楽章は、そのものズバリ、ブルースだ。
19世紀アメリカ黒人音楽の生まれを持つ、四分の四拍子、フォービートの歌曲風作品。 モーリス・ラヴェ1875~1937は、ピアノ協奏曲ト長調や左手のためのピアノ・コンチェルトなど華麗な音楽の作曲家。
彼のヴァイオリン・ソナタは、Vn奏者にとって魅力的作品でありながら、音盤は意外に少ない。そんな中、クー ダルシェは、1997年にヨハンナ・マルツィによる二種類の音盤をリリースしている。
ヨハンナ・マルツィ1924,oct24ルーマニア~1979、aug13チューリヒは、リスト音楽院でフバーイに師事している。 1965年11月25日に、そして1972年1月27日に二度目のラヴェル作品録音を残している。41歳の時は、音に色つやがあり、光り輝いていて力強い演奏になっている。それから七年経過して、48歳の録音は、ピアノ奏者とのアンサンブルに磨きがかかっていて、緊密でスリリングとまで言える演奏である。
第二楽章のブルースでの楽器の鳴り、ピッツィカートは、精彩を放っている。フィナーレは、ピアノ協奏曲の音楽を彷彿としていて、ソナタでありながらスケールの大きい音楽で演奏者達は、音楽を存分に楽しんでいる様子が伝わり、聴いていてハッピーになるから、不思議である。